株式会社Livune

2026/10/27 コールセンター業務

自己解決率とは|計算式と測り方、チャットボット・FAQで上げる手順と「上げすぎ」の落とし穴

自己解決率の解説記事のアイキャッチ。チャット画面の吹き出しからチェックマークを持って歩き出す人と、横に置かれた電卓と分数の図(画像内テキスト: 自己解決率とは / 計算式と測り方、上げる手順 / 実務ガイド)

チャットボットや FAQ ページを入れると、まもなく「効果はどうですか」と聞かれます。手元には会話数とページの閲覧数があり、「自己解決率」という言葉も知っている。ところが、いざ数字を出そうとすると手が止まります。何を分母にするのか。途中で閉じられた会話は解決に入れるのか。翌日に電話してきた人は、どう数えるのか。先に結論を書きます。自己解決率とは、問い合わせのうち、人の手を借りずに解決した割合のことです。ただし計算式は 1 つに決まっていません。分母と分子の取り方で、同じ運用でも数字が変わります。だから最初にやるべきは「上げる」ことではなく、自社の定義を 1 行で決めることです。この記事では、自己解決率とは何か、一次解決率や利用率と何が違うのか、計算式の分母と分子をどう選ぶか、チャットボット・FAQ・有人切り替えのどこで何を記録するか、解決できなかった質問を拾って上げる 5 つの手順、そして率だけを追うと電話が戻ってくる「上げすぎ」を防ぐために対で見る 3 つの指標までを、実務の手順に落とします。

この記事の要点
  • 自己解決率は「問い合わせのうち、人の手を借りずに解決した割合」。デフレクション率と同じ意味で、一次解決率(人が 1 回で解決した割合)とも利用率(そもそも使われたか)とも別の数字
  • 計算式は 1 つではない。分母(全問い合わせ / チャットの会話 / 自己解決 + 有人)と分子(途中離脱・再問い合わせの扱い)で数字が変わるので、自社の定義を 1 行で決めて固定する
  • 測る場所は 3 つ ── チャットボットの中・FAQ ページ・有人への切り替え。どこで解決し、どこで離脱したかを分けて記録しないと、直す場所が決まらない
  • 率だけを KPI にしない。離脱を解決に数えれば率は上がるが、電話は戻ってくる。再問い合わせ率・電話とメールの件数・簡易評価と対で読む
STEP 1
定義を 1 行で決める
分母・分子・期間
→
STEP 2
記録する場所を決める
チャット・FAQ・有人
→
STEP 3
上げる手順を回す
拾う → 足す → 育てる
→
STEP 4
対の指標で確かめる
再問い合わせ・電話件数

自己解決率とは ── 一次解決率・利用率との違い

自己解決率は、お客様が自分で答えにたどり着き、電話やメールで人に聞かずに済んだ割合です。チャットボット・FAQ ページ・ヘルプ記事・自動音声の案内など、「人を介さない窓口」の働きを測る数字で、コールセンターでは「人につながなくて済んだ分」を表す指標として使われます。似た言葉がいくつかあるので、先に整理します。

デフレクション率と同じもの

海外の資料やツールの画面では「デフレクション率(deflection rate)」と書かれていることがあります。デフレクトは「そらす」という意味で、人の窓口に来るはずだった問い合わせを、自動の窓口でそらした割合、という見方です。日本語の自己解決率と指しているものは同じです。ただ、言葉が同じでも計算の仕方はツールや会社によって違います。この点は次のセクションで詳しく書きますが、「自己解決率(デフレクション率)がいくつ」と聞いたときは、必ず「何で割った数字か」を確かめる習慣をつけてください。

一次解決率(FCR)との違い

コールセンターで昔から使われている「一次解決率(FCR: First Contact Resolution)」は、人が対応した問い合わせのうち、1 回のやり取りで解決した割合です。測っている対象が違います。一次解決率は「人が受けた後」の品質、自己解決率は「人が受ける前」に片づいた量。両方が高いのが理想ですが、片方しか見ていないと判断を誤ります。たとえば、自己解決率が上がって電話が減ったのに、残った電話が難しいものばかりになって一次解決率が下がる、ということは普通に起きます。これは悪いことではなく、「簡単な用件が自動の窓口に移った」結果です。2 つの数字を並べて初めて、その読み方ができます。

利用率との違い

もう 1 つ混ざりやすいのが「利用率」です。利用率は、チャットボットや FAQ がそもそも使われたかを測る数字で、入口の導線の設計で決まります。自己解決率は、使った人が解決して帰れたかを測る数字で、答えの中身と逃げ道の設計で決まります。入口の数字と出口の数字、と覚えてください。利用率が低いのに自己解決率を上げようとしても、母数が小さすぎて何も分かりません。逆に利用率だけを上げても、出口で解決できなければ電話は減りません。利用率の分母の決め方と上げる設計は「チャットボットの利用率を上げる方法」に書きましたので、この記事は出口側の数字に絞ります。

自己解決率の計算式 ── 分母と分子の選び方で数字が変わる

大きな分数の記号の上下に、チャット吹き出しと電話の受話器と書類が置き換わるように並び、天秤がわずかに傾いているイメージ(画像内テキスト: 分母と分子で、数字は変わる)

自己解決率の計算式として、よく見かけるのは次の 2 つです。どちらも正しく、どちらも「自己解決率」と呼ばれます。問題は、同じ運用を同じ月に測っても、2 つの式で出てくる数字が違うことです。

よく使われる 2 つの式

  • ①自動の窓口の中で測る式 ── 自己解決率 = 自動の窓口で解決した件数 ÷ 自動の窓口に来た件数。チャットボットなら「会話のうち、人につながずに終わった割合」、FAQ ページなら「閲覧のうち、その後に問い合わせに進まなかった割合」です。ツールの管理画面に出てくる自己解決率は、たいていこの式です。チャットボットや FAQ そのものの出来を見るのに向いています。
  • ②問い合わせ全体の中で測る式 ── 自己解決率 = 自動の窓口で解決した件数 ÷ (自動の窓口で解決した件数 + 人が対応した件数)。電話・メール・チャットの有人対応を含めた「問い合わせ全体のうち、人を介さずに済んだ割合」です。コールセンター全体として、どれだけの用件が自動の窓口に移ったかを見るのに向いています。経営層への報告で使うなら、こちらが実感に近い数字になります。

架空の数字で確かめます。ある月、チャットボットに 100 件の会話があり、そのうち人につながずに終わったのが 80 件でした。同じ月、電話とメールで人が対応した件数が 400 件でした。式 ① なら 80 ÷ 100 で 80%、式 ② なら 80 ÷ (80 + 400) で約 17% です。どちらも間違いではありません。式 ① は「チャットボットは使われたときには役に立っている」と言っていて、式 ② は「問い合わせ全体から見れば、まだ自動の窓口に移った分は小さい」と言っています。同じ月の同じ運用が、式によって 80% にも 17% にもなる。これが、自己解決率を扱うときに最初に知っておくべきことです。

途中離脱・再問い合わせをどう数えるか

さらに厄介なのが分子です。「解決した件数」をどう決めるかで、同じ式でも数字が動きます。上の例の 80 件の中には、答えを読んで納得して閉じた人もいれば、答えが合わずに途中で閉じた人もいます。後者を「人につながなかったのだから解決」と数えるツールもあれば、「解決の評価ボタンが押されたものだけ」を数えるツールもあります。分母の取り方と、分子の揺れを表にまとめます。

決めること選択肢数字が大きく出る側向いている用途
分母自動の窓口に来た件数(式 ①)/ 自己解決 + 有人対応(式 ②)/ 全問い合わせ(フォーム・来店なども含む)式 ①式 ① = 窓口の出来を見る / 式 ② = 問い合わせ全体の移り具合を見る
途中離脱解決に数える / 解決から外す / 「不明」として別枠にする解決に数える側別枠が最も誠実。離脱の多さ自体が「答えが合っていない」合図になる
再問い合わせ一定期間内に同じ人から電話・メールが来たら解決から外す / 突合せず数えない突合しない側突合できるなら外す。できないなら「突合していない」と注記して出す
解決の判定評価ボタン(役に立った)/ 人につながらずに終了 / 再問い合わせなし「つながらずに終了」複数を組み合わせる。1 つだけで決めると偏る(次のセクション)
期間月次 / 週次 / 導入前後の比較──月次が基本。再問い合わせの突合に数日〜数週間の猶予が要るため、週次は速報扱い

表の「数字が大きく出る側」の列を見てください。分母を小さく取り、途中離脱を解決に数え、再問い合わせを突合しなければ、自己解決率はいくらでも高く見せられます。悪意がなくても、ツールの初期設定がそうなっていることは珍しくありません。だから、数字を見せられたら式を聞く、数字を出すなら式を添える。これだけで、社内の会話の多くの行き違いが消えます。

自社の定義を 1 行で決める(テンプレ)

選び方は決まっています。「何のために見るか」から逆算します。チャットボットや FAQ の中身を直したいなら式 ①、問い合わせ全体の移り具合を経営層に報告したいなら式 ②。両方見たいなら、両方を別の名前で持ちます(「チャット内解決率」と「全体の自己解決率」のように)。1 つの名前に 2 つの式を混ぜないことが大切です。決めたら、次の 1 行の形で書き残してください。

自社の定義(例): 「自己解決率 = チャットボットで会話が終わり、かつ同じ連絡先から 7 日以内に電話・メールが来なかった件数 ÷ チャットボットの会話件数(途中離脱は分子から外し、別枠で件数を出す)。月次で集計し、導入月を基準に比べる」── 分母・分子・除外・期間・比較の基準の 5 つが入っていれば十分です。この 1 行を、数字を出すたびに添えてください。

この 1 行があると、翌月から「上がった・下がった」が意味を持ちます。無いと、集計した人が変わるたびに数字の意味が変わり、「先月より上がった」が本当に上がったのか、数え方が変わっただけなのかが分かりません。定義を決めるのは、上げる前の仕事です。

自己解決率の測り方 ── チャットボット・FAQ・有人切り替えのどこで記録するか

3つの扉が横に並び、左はチャット吹き出し、中央は書類の束、右はヘッドセットを着けた人。それぞれの前で小さな人が立ち止まり、足元に印の付いた記録用紙があるイメージ(画像内テキスト: どこで解決したかを、分けて見る)

定義が決まったら、その定義どおりに数えられる記録が要ります。ここで多いのが、「チャットボットの管理画面の数字をそのまま使う」ことです。管理画面の自己解決率は、チャットボットの中で起きたことしか知りません。FAQ ページで解決した人も、チャットで答えが出ずに電話した人も、管理画面には映りません。自己解決率は、お客様が通る場所ごとに分けて記録して、初めて直す場所が決まります。通る場所は 3 つです。

測る場所何を記録するか落ちやすい穴
チャットボットの中会話件数 / 人につながらずに終わった件数 / 途中で閉じられた件数 / 評価ボタンの押下 / 答えられなかった質問の文面「つながらずに終わった = 解決」と初期設定で数えている。答えられなかった質問の文面を残していない
FAQ ページページの閲覧数 / 閲覧後に問い合わせフォーム・電話番号のページへ進んだ数 / ページ内検索で結果が 0 件だった語閲覧数だけを見ている。「読んだが解決しなかった」が見えない
有人への切り替えチャットから人へ移った件数とその直前の質問 / 電話・メールで「チャットを見た」「FAQ を見た」と言われた件数 / 用件の分類人へ移った理由を記録していない。「見たけど分からなかった」の件数を応対記録に残していない

3 つ目の「有人への切り替え」は見落とされがちですが、いちばん情報が濃い場所です。チャットから人へ移った直前の質問は、「チャットボットが答えられなかった質問」そのものです。電話で「FAQ を見たけど分からなくて」と言われた用件は、「FAQ の答えが足りない項目」そのものです。これを応対記録に 1 項目足すだけで、次のセクションの「上げる手順」の材料が毎日たまります。応対記録に何を残せば分析に使えるかは「問い合わせ対応の記録の残し方」に項目設計として書きました。チャットから人へ渡す線の引き方そのものは「チャットボットの有人切り替え設計」が本体です。

次に、「解決した」をどう判定するかです。定義の表でも触れましたが、判定の材料は 3 通りあり、それぞれに癖があります。

  • ①評価ボタン(役に立った / 立たなかった) ── いちばん直接的ですが、押す人は一部です。押された中の割合は分かっても、押されなかった大多数が解決したかは分かりません。「押された件数が少ない」こと自体も記録してください。母数が小さい割合は、月ごとに大きく揺れます。
  • ②人につながらずに会話が終わった ── 自動で取れるので便利ですが、「あきらめて閉じた」が混ざります。途中離脱(答えの表示後、ほとんど間を置かずに閉じた・同じ質問を言い換えて何度も送った後に閉じた)を別枠に分けると、だいぶ正直な数字になります。
  • ③一定期間内に再問い合わせが無かった ── 最も信頼できる判定ですが、連絡先の突合が要ります。チャットは匿名で使われることが多いので、全件は突合できません。できる範囲(会員ログイン後のチャット・メールアドレスを入れた問い合わせ)だけで突合し、「突合できた範囲での数字」と注記して出します。

実務では、② を基本の数字にし、途中離脱を別枠で出し、③ を突合できる範囲で補助に使う、という組み合わせが現実的です。① は「役に立たなかった」と押された会話の文面を読むための入口として使うと、割合より役に立ちます。

自己解決率を上げる 5 つの手順

解決できなかった質問が書かれたカードを人が拾い上げ、鉢に植えると小さな芽が出て、隣の鉢ではFAQの書類が育っているイメージ(画像内テキスト: 解決できなかった質問が、次の種)

定義と記録が整ったら、ようやく「上げる」番です。上げる手順は、派手な施策ではなく、「解決できなかった質問を拾って、答えを足して、また測る」の繰り返しです。順番に 5 つに分けます。

01
解決できなかった質問を、毎週まとめて読む

前のセクションで記録を始めた 3 か所から、「チャットボットが答えられなかった質問の文面」「FAQ 内検索で 0 件だった語」「電話で『見たけど分からなかった』と言われた用件」を週に 1 回集めます。件数を数えるより、文面を読むことが大切です。同じ用件が言い方を変えて何度も来ていれば、それが次に足す答えの第 1 候補です。最初の数週間は、この読む作業だけで「どこが足りないか」がほぼ見えます。

02
足りない答えを FAQ に足す ── 質問の言い方で書く

拾った質問に対する答えを、FAQ ページや FAQ の元データに足します。このとき、見出しは社内の言い方ではなく、お客様が実際に打ち込んだ言い方に寄せてください。「ご契約内容の変更手続きについて」ではなく「プランを変えたい」のほうが、検索でも AI の照合でも当たります。足す順番は、件数が多いものから。質問の絞り方・書き方・置き方・更新の回し方は「FAQページの作り方」に手順として書きました。

03
チャットボットの回答を育てる ── 答えがあるのに外れた会話を直す

FAQ に答えがあるのにチャットボットが外した会話は、別の直し方が要ります。元の資料の書き方が曖昧で複数の答えに読めた、資料の更新が遅れて古い答えを返した、質問が短すぎて意図が取れなかった、のどれかに落ちることがほとんどです。これは「答えを足す」のではなく「答えを育てる」作業で、導入後に続く運用です。5 つのステップに分けた進め方は「チャットボットの回答精度を上げる方法」が本体なので、ここでは手順の位置づけだけに留めます。

04
答えが足りたら、入口を増やす

答えが足りていないうちに入口を広げると、「使ったけど解決しなかった」人を増やすだけです。手順 01〜03 を数回まわして、よく来る用件の答えがそろってから、電話番号の近くや予約ページの中など、問い合わせの直前の場所に入口を置きます。入口の置き場所・最初の一言・逃げ道の設計は「チャットボットの利用率を上げる方法」に書いたとおりです。利用率が上がると自己解決率の母数が増え、数字が安定して読めるようになります。

05
人へ渡す線を決めて、「解決しない質問」を抱え込ませない

自己解決率を上げる手順の最後が「人へ渡す」なのは、意外に思われるかもしれません。しかし、答えられない質問を抱え込んで何往復もさせるチャットボットは、途中離脱を増やし、結果として本当の自己解決率を下げます。契約の個別事情・クレーム・本人確認が要る手続きは、最初から人へ渡す線を引いておく。渡した件数は「自動の窓口で解決しなかった件数」として正直に数えます。線の引き方は「チャットボットの有人切り替え設計」が本体です。渡す線がはっきりしているほど、残った会話の自己解決率は信用できる数字になります。

5 つの手順を 1 周まわしたら、同じ定義で翌月の数字を出します。上がっていれば、どの手順が効いたかを「足した答えの件数」「育てた会話の件数」と並べて記録しておきます。上がっていなければ、手順 01 に戻って文面を読み直します。数字を動かすのは施策の数ではなく、この周回の回数です。

「上げすぎ」に注意 ── 率と一緒に見る 3 つの指標

右肩上がりの折れ線グラフの横で、電話の受話器が静かに戻ってきている小さな矢印と、グラフを眺めて首をかしげる人のイメージ(画像内テキスト: 率だけを、追わない)

最後に、この数字を KPI に置くときの注意です。自己解決率は、上げようと思えば簡単に上がります。途中離脱を解決に数える、答えられない質問に「FAQ をご覧ください」と返して会話を終わらせる、人へ渡す線を細くする。どれも率は上がりますが、お客様は解決していないので、翌日に電話してきます。自己解決率が上がったのに電話が減らないなら、率の上がり方のほうを疑ってください。これを防ぐには、率を単独で見ず、次の 3 つと対で読みます。

  • ①再問い合わせ率 ── 自動の窓口で「解決」と数えた件のうち、一定期間内に同じ人から電話・メールが来た割合。突合できる範囲でよいので、毎月同じ範囲で出します。自己解決率が上がって再問い合わせ率も上がっていれば、「解決」の数え方が甘くなっているか、答えが表面的になっています。
  • ②電話・メールの件数の推移 ── 自動の窓口の目的は、人の窓口の負担を減らすことです。自己解決率が上がっているのに、電話とメールの件数が導入前と変わらなければ、自動の窓口で片づいているのは「元々電話しなかった用件」かもしれません。用件の分類ごとに件数を見ると、どの用件が本当に自動の窓口へ移ったかが分かります。
  • ③簡易評価(役に立った / 立たなかった) ── 押す人は一部ですが、「立たなかった」と押された会話の文面は、率では見えない「解決したことになっている未解決」を見つける入口になります。割合として追うより、月に数十件でもよいので文面を読む材料として使います。

この 3 つを添えて報告すると、「自己解決率が上がりました」が「電話が減り、戻ってくる人も増えていません」という文に変わります。経営層が本当に知りたいのは後者です。率は、その文を支える 1 つの数字にすぎません。

「自己解決率の目安はいくつか」という質問に、この記事では数字で答えていません。業界の平均として出回っている数字は、分母も分子も期間も揃っていない数字の寄せ集めで、自社の数字と比べても意味を持たないからです。式 ① で 80% の会社と、式 ② で 17% の会社は、同じ運用かもしれません。比べる相手は他社ではなく、同じ定義で測った先月の自社です。導入の前後、あるいは手順を 1 周まわす前後で、同じ 1 行の定義で比べてください。それが、この数字の唯一正しい使い方です。

なお、自己解決率は問い合わせ削減の計器の 1 つであって、全体の設計の中ではその一部です。どの問い合わせを減らしてよく、どの問い合わせは人が受け続けるべきかを決めたうえで、自動の窓口に移した分を測る ── その全体像は「問い合わせ削減の方法【完全ガイド】」に 1 本でまとめています。自己解決率の定義を決める前に、何を減らすかの合意が先にあると、数字の読み方で迷わなくなります。

コルットの場合 ── 自社の数字を、定義ごと持ち帰る

私たち Livune が提供している AI チャットボット「コルット」は、HP に 1 行のタグを貼って設置し、社内の資料をもとに自由入力の質問へ答える製品です。基本レポートには会話数と自己解決率が含まれ、Business プランでは問い合わせの分析ダッシュボードと月次の改善提案が付きます。月次の改善提案では、ダッシュボードの数字を見て「どの段で落ちているか」「次に直す 1 つは何か」を当社が一緒に決めるところまで行います。この記事で書いた手順 01〜03 ── 答えられなかった質問を読み、足し、育てる ── を、毎月の運用として回す形です。答えられない質問は有人対応へエスカレーションする設計なので、手順 05 の「人へ渡す線」も最初から持っています。

そのうえで 1 つだけお願いがあります。レポートの自己解決率を見るときは、この記事のとおり「何を分母にして、途中離脱をどう扱っているか」を、まず確かめてください。コルットに限らず、どの製品のレポートでも同じです。2 ヶ月の無料モニターの期間中に、自社の実環境で会話数と自己解決率を実測できるので、本番導入の判断を、出回っている目安ではなく、自社の定義で測った自社の数字で行えます。

Livune は、「作業を AI に任せる仕組み」を構築している会社です。自己解決率を上げること自体は目的ではなく、電話の向こうで繰り返されていた同じ説明を自動の窓口に移し、人が考える仕事に時間を戻すことが目的です。数字は、その移り具合を確かめるための道具として、定義ごと正直に扱う ── これは私たちが自社の仕事に対して置いている決まりでもあります。

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出回っている目安ではなく、自社の自己解決率を実測する

コルットは、HP にタグ 1 行で設置できる AI チャットボットです。無料モニターの 2 ヶ月で、会話数と自己解決率を自社の実環境で測り、本番導入の判断を自社の数字で行えます。

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よくある質問

自己解決率の目安は、どのくらいですか?

この記事では目安の数字を出していません。出回っている平均値は、分母(自動の窓口の件数か、問い合わせ全体か)・分子(途中離脱を数えるか)・期間が揃っていない数字の寄せ集めで、自社の数字と比べられないからです。比べる相手は、同じ 1 行の定義で測った先月の自社の数字です。導入前後、または上げる手順を 1 周まわした前後で比べてください。

自己解決率は英語で何と言いますか?

self-service resolution rate、または deflection rate(デフレクション率)と呼ばれます。デフレクトは「そらす」の意味で、人の窓口に来るはずだった問い合わせを自動の窓口でそらした割合、という見方です。海外のツールの画面では deflection rate の表記が多く、意味は日本語の自己解決率と同じですが、計算式はツールごとに違うので、数字を見るときは式を確かめてください。

一次解決率(FCR)との違いは何ですか?

一次解決率は「人が対応した問い合わせのうち、1 回のやり取りで解決した割合」で、人が受けた後の品質を測ります。自己解決率は「人が受ける前に、自動の窓口で片づいた割合」で、人の窓口に来なかった量を測ります。自己解決率が上がると、残った電話が難しいものに偏って一次解決率が下がることがありますが、それは簡単な用件が自動の窓口に移った結果で、悪い変化ではありません。2 つを並べて読んでください。

チャットボットを入れて自己解決率も出ているのに、電話が減らないのはなぜですか?

考えられる原因は 3 つです。1 つ目は、「解決」の数え方が甘いこと ── 途中離脱を解決に数えていると、率は高いのにお客様は翌日電話してきます。再問い合わせ率と対で見てください。2 つ目は、自動の窓口で片づいているのが元々電話しなかった用件であること ── 用件の分類ごとに電話件数を見ると分かります。3 つ目は、そもそも使われていないこと ── 利用率の問題で、入口の置き場所と導線を直す段階です。どれに当たるかを、3 か所の記録から切り分けてから手を打ってください。