株式会社Livune

2026/9/4 コールセンター業務

コールセンターのAI導入の進め方|「置き換え」ではなく「振り分け」から始める実務ガイド

コールセンターのAI導入の進め方を解説する記事のアイキャッチ(画像内テキスト: コールセンターのAI導入 / 置き換えではなく、振り分けから始める / 導入ガイド)

「コールセンターに AI を入れたら、オペレーターの仕事はどこまで置き換えられるのか」──AI 導入の検討は、たいていこの問いから始まります。そして率直に言えば、この問いの立て方のままでは、検討はどこかで止まります。「全部は無理そうだ」と分かった瞬間に、AI は使えないという結論に傾いてしまうからです。私たちが導入支援の現場で最初にお伝えしているのは、問いを変えることです。コールセンターの AI 導入とは「人を置き換える計画」ではなく、「どの問い合わせを AI に渡し、どの問い合わせを人に残すかを決める設計」です。この線を先に引いておけば、AI が得意な用件は AI が受け、人でなければならない用件には人がこれまで以上に時間を使える。置き換えではなく振り分け──この記事では、導入前に決めておくべき 3 つのこと、用件の分類表、数える・線を引く・場所と形を選ぶ・小さく試す・育てるの 5 ステップ、つまずきの典型 4 パターン、そして検索でもよく調べられている「導入率」や「導入事例」を自社の判断にどう使うかまでを、実務の手順に落とし込みます。

この記事の要点
  • コールセンターの AI 導入は「置き換え」ではなく「振り分け」── AI に渡す問い合わせと人に残す問い合わせを分ける設計が、導入の本体
  • 導入前に決めるのは 3 つ ──目的の 1 行・AI と人の線・測り方。製品選びは、この 3 つが決まった後
  • 線の引き方は「答えが決まっているか × 相手の状況の重さ」の 4 分類── 定型で軽い用件から AI に渡し、判断・強いご不満・重要な手続きは人に残す
  • 進め方は 5 ステップ ──数える → 線を引く → 場所と形を選ぶ → 小さく試す → 育てる。導入した日が完成ではなく、月次で線を引き直しながら任せる範囲を広げる
  • 他社の導入率・導入事例は「自社の用件の内訳」に照らして読む── 数字そのものは判断材料にならない
STEP 1
数える
用件×件数を記録
STEP 2
線を引く
渡す用件と残す用件
STEP 3
場所と形を選ぶ
用件に合わせて
STEP 4
小さく試す
実測で確かめる
STEP 5
育てる
月次で線を引き直す

コールセンターのAI導入とは ──「置き換え」ではなく「振り分け」

問い合わせを AI に渡す仕事と人に残す仕事に振り分ける考え方を表したイメージ(画像内テキスト: AIに渡す仕事と、人に残す仕事)

最初に、この記事全体の前提になる考え方を整理します。コールセンターの AI 導入とは、電話・チャット・メールで寄せられる問い合わせ対応のうち、人が直接対応しなくても品質が保てる部分を AI に受け持たせることです。ここで大切なのは「部分」という言葉です。問い合わせは一様ではありません。営業時間や手続き方法のように答えが決まっている用件もあれば、込み入った事情の相談や強いご不満のお申し出のように、人の判断と気遣いでしか成り立たない用件もあります。この両方を同じ「問い合わせ」としてまとめて「AI に置き換えられるか」と問うから、答えが出ないのです。用件ごとに見れば、答えははっきりしています。前者は AI に渡せますし、後者は人に残すべきです。

観点置き換えの発想振り分けの発想
最初の問い人の仕事をどこまで AI にできるかどの用件を AI に渡し、どの用件を人に残すか
対象オペレーターの業務全体用件ごと(定型か・状況が重いか)
精度への向き合い方すべて答えられないなら使えない答えられない用件は最初から人に残す
成功の基準人を減らせたか人が受けるべき用件に、人の時間を使えているか
導入後の姿期待と現実の差で検討が止まりやすい渡す範囲を月次で広げていける

振り分けの発想に立つと、AI 導入の目的も変わります。目的は「人を減らすこと」ではなく、人でなければならない問い合わせに、人の時間を厚く使える状態を作ることです。定型の用件を AI が受けてくれれば、オペレーターは込み入った相談やご不満の対応に落ち着いて向き合えますし、待ち時間も短くなります。お客様にとっても、簡単な確認は待たずに済み、難しい相談は人がしっかり聞いてくれる──この状態が、振り分けの設計が目指すゴールです。

なお、AI が働く「場所」にも触れておきます。コールセンターの AI と呼ばれるものは、問い合わせが電話になる前の手前で受ける形(HP 上のチャットボット)、かかってきた電話に電話口で応対する形(音声の自動応答)、電話には人が出たうえで後ろから支える形(回答候補の提示や応対記録の作成)の 3 つに大別されます。どの場所を選ぶかは、この記事の後半で扱う「AI に渡す用件」の性質から決まるものであり、先に場所を決めてから用件を探すのは順番が逆です。場所ごとの費用構造の違いは「コールセンターのAI導入費用 ── 内訳3層と「月額いくら」で比べない判断軸」で、電話口で応対する形の手段と難易度は「電話自動化の進め方 ── かかってきた電話をどこまで自動で処理できるか」で詳しく解説しています。また、AI 導入そのものは問い合わせ削減の打ち手の 1 つです。打ち手全体の選択肢と組み合わせ方は、ピラー記事「問い合わせ削減の方法【完全ガイド】」からたどれます。

導入前に決める 3 つのこと ── 目的・AI と人の線・測り方

AI に渡す用件と人に残す用件の線を引いてから道具を選ぶ順番を表したイメージ(画像内テキスト: 線を引いてから、道具を選ぶ)

製品の資料を集める前に、自社で決めておくべきことが 3 つあります。この 3 つが決まっていれば、製品の比較は驚くほど短時間で終わります。逆に決まっていないと、どの製品の説明を聞いても「うちに合うのか分からない」が続きます。

  • 目的を 1 行にする ──「何を減らし、何を守るか」。「営業時間外の問い合わせを翌朝に持ち越さない」「手続き方法の確認電話を減らして、相談の電話に時間を使う」──この形です。減らしたいものだけでなく、守りたいもの(人が受け続ける対応)まで書くのが、振り分け設計の目的文の特徴です。「効率化する」のような大きな言葉は、誰の行動も変えないので避けてください。
  • AI に渡す用件と、人に残す用件の線を引く。次の 4 分類表を使います。ここが導入の本体であり、この記事でいちばん時間をかけてほしい部分です。
  • 測り方を決める ──「何を・いつ・どこで」数えるか。導入後に「効いたのか」を判断する数字を、導入前に決めておきます。電話の件数だけを見ると、チャットに移っただけの「付け替え」を削減と読み違えます。電話・チャット・メールを合算した用件別の件数と、人に戻った件数を、月に 1 回同じ方法で数える──この物差しを先に固定します。

用件の 4 分類 ──「答えが決まっているか」×「相手の状況の重さ」

線を引くときの軸は 2 つです。1 つ目は答えが決まっているか(誰が答えても同じ内容になるか)。2 つ目は相手の状況の重さ(お金・契約・強い感情・本人確認が絡むか)。この 2 軸で、自社の用件を 4 つに分けます。

分類用件の例AI の受け持ち人の受け持ち
A 定型 × 軽い営業時間・場所・手続き方法・料金プランの確認、書類の書き方回答まで任せる(第一候補)AI が答えられなかったときの受け皿
B 定型 × 重い解約手続き・支払方法の変更・登録情報の変更手順の案内と必要書類の説明まで本人確認と手続きの実行
C 非定型 × 軽い商品の使い方の相談・自社に合うプランの相談選択肢の整理と、関連する情報の提示相手の状況に合わせた提案
D 非定型 × 重い強いご不満のお申し出・トラブルの相談・個別事情を伴う交渉受け付けた内容の記録と、人への引き継ぎ対応そのもの(最初から人が受ける)

この表のポイントは、AI に「回答まで」任せるのは A だけで、B〜D でも AI にできる仕事はある、という 2 段構えにあります。B では手順の案内までを AI が受け、本人確認と実行は人が行う。C では情報の整理を AI が担い、提案は人がする。D は最初から人が受けるが、受付内容の記録は AI が支える。「AI か人か」の二択ではなく、1 つの用件の中でも工程を分けて受け持つ──これが振り分け設計の実際の形です。そして表を埋めるとき、必ず人に残すべき用件が 3 種類あります。①判断が要る相談(相手の事情によって答えが変わるもの)②強いご不満のお申し出(まず人が聞くことに意味があるもの)③本人確認や金銭の変更を伴う手続き(誤りが取り返しにくいもの)。この 3 つを最初に「残す側」に置いておくと、残りの用件について「渡せるか」を安心して検討できます。AI から人へどう切り替えるか──いつ切り替え、誰が受け、何を引き継ぐか──の実装設計は「チャットボットの有人切り替え設計 ── AIと人の切り分け方」で詳しく解説しています。

コールセンターのAI導入の進め方 ── 5 つのステップ

小さく始めて実測をもとに任せる範囲を広げていく進め方のイメージ(画像内テキスト: 小さく始めて、実測で広げる)

導入前に決める 3 つを、冒頭のロードマップに沿って実行手順に落とします。大がかりな設備の入れ替えは要りません。最初のステップは、いまの電話と共有の表計算シートだけで始められます。

ステップ 1 ── 数える: 用件と件数を記録する

2〜4 週間、問い合わせを受けるたびに「用件・チャネル・所要時間・結果(その場で解決したか、折り返したか、別部署に回したか)」を 1 行ずつ記録します。用件のラベルは 10 個前後の粗いもので十分です。細かく分けすぎると担当者ごとに付け方がぶれて、集計が使えなくなります。この一枚表ができると、「多い用件」「時間を食っている用件」「答えがいつも同じ用件」が、感覚ではなく数字で見えてきます。AI 導入の失敗の多くは、この工程を飛ばして「たぶん多いはず」の用件に仕組みを当ててしまうことから起きます。ラベルの設計と、集計がぶれない分類表の作り方は「コールリーズン分析の分類表の作り方 ── 集計がブレない設計手順」で手順化しています。

ステップ 2 ── 線を引く: 渡す用件リストと残す用件リストを作る

一枚表の用件を、前のセクションの 4 分類表に当てはめます。成果物は 2 枚のリストです。「AI に渡す用件リスト」には、A 分類のうち件数の多い上位の用件と、B・C 分類で AI が受け持つ工程を書きます。「人に残す用件リスト」には、D 分類のすべてと、B・C 分類で人が受け持つ工程を書きます。ここで 1 つ、実務上とても大切なことがあります。この 2 枚は、担当者が 1 人で作らないでください。実際に電話を受けているオペレーターと一緒に線を引くことで、「この用件は一見定型に見えるが、実は 3 回に 1 回は事情が絡む」といった現場の知恵が線に反映されます。同時に、この作業自体が「AI は自分たちの仕事を奪うものではなく、面倒な定型対応を引き受けてくれるもの」という理解を現場に作ります。導入後の定着は、この段階での巻き込み方でほぼ決まります。

ステップ 3 ── 場所と形を選ぶ: 渡す用件の性質から決める

渡す用件リストができて初めて、製品選びの土俵に立てます。まず「場所」は、渡す用件の性質で決まります。渡す用件が「答えが決まっている質問」中心なら、電話になる前の手前(HP 上のチャットボット)で受けるのが早く確実です。文字のチャネルは、音声だけ・その場限り・待たせられないという電話の制約を受けないため、同じ用件でもはるかに自動化しやすいからです。渡す用件が「予約や注文確認」のように用件が 1 つに絞られた電話なら、電話口の音声応対が候補になります。記録や要約の負担が大きいなら、人が出たうえで後ろから支える形が向きます。次に「形」は、運用に割ける人と時間で決めます。ナレッジの整備や日々の更新を自社で担えるなら自社運用型、担当者を割けないなら構築から改善までを事業者が持つ伴走型──ここは費用の構造と表裏一体なので、費用の見方は前述の費用の記事に譲ります。手前で受けるチャットボットを選んだ場合の製品選定の基準は「チャットボットの選び方 ── 比較の前に決める選定基準5つ」で 5 つに整理しています。

ステップ 4 ── 小さく試す: 渡す用件のうち上位数件で実測する

製品が決まったら、いきなり全用件で本番にせず、渡す用件リストの上位数件に絞って試します。試す期間に見るべき数字は「AI が答えられた割合」ではありません。見るべきは「渡した用件のうち、人に戻ってきた件数と、その理由」です。戻ってきた理由は 3 つに分かれます。①知識源に情報が無かった(ナレッジを足せば解消する)②質問の言い回しに追従できなかった(表現の追加や設定の調整で解消する)③そもそも人が受けるべき用件だった(線の引き直しで解消する)。この分類ができていれば、試行の結果は「使える・使えない」の二択ではなく、次に直す場所のリストになります。何を検証し、どう本番判断につなげるかの詳しい設計は「チャットボットのトライアルとPoCの違い ── 何を検証し、どう本番判断につなげるか」で解説しています。

ステップ 5 ── 育てる: 月次で線を引き直し、渡す範囲を広げる

本番に移した後は、月に一度、ステップ 1 と同じ方法で数えます。確認するのは「AI が受けた件数・人に戻った件数・答えられなかった用件」の 3 つ。答えられなかった用件のリストは、そのまま翌月の改善候補です。そしてここが振り分け設計の醍醐味ですが、線は固定ではありません。人に残していた用件のうち、記録を見ると「実は 9 割が同じ手順の案内で終わっていた」と分かるものが出てきます。そうした用件は、翌月から AI に渡す側へ移せます。逆に、AI に渡していたが人に戻る率が高い用件は、一度人に戻して知識源を整えてから再挑戦する。導入した日が完成ではなく、月次の見直しで任せる範囲が広がっていく──この運用に入って初めて、AI 導入は投資として回り始めます。回答精度を上げる運用の具体的な手順は「チャットボットの回答精度を上げる方法 ── 導入後に「育てる」運用5ステップ」で詳しく書いています。

5 ステップを通じて守りたい原則は 2 つです。①人への道を塞がない(AI が答えられなかったとき、お客様が行き止まりに当たらない設計にする)②効果は電話単体でなく、チャット・メールを含めた合算の用件別件数で確かめる(電話が減っても別の窓口が同じだけ増えていたら、それは削減ではなく付け替えです)。

導入がつまずく典型 4 パターンと避け方

AI 導入でつまずく典型パターンを設計で避けて進む道筋のイメージ(画像内テキスト: つまずきは、設計で避けられる)

「コールセンター AI 導入 事例」を調べると、うまくいった話も、うまくいかなかった話も見つかります。うまくいかなかった側には、はっきりした型があります。型が分かっていれば事前に避けられるので、代表的な 4 つを避け方とセットで挙げます。いずれも製品の性能ではなく、設計の問題です。

01
「全部任せる」で始めて、精度の議論で止まる

線を引かずに「代表電話にかかってくるあらゆる用件を AI で」と始めると、必ず答えられない用件が出て、精度への不安が検討全体を止めます。用件を絞らないほど自動化は難しくなる──これは現在の技術の性質であり、製品を変えても消えません。避け方は、この記事の 4 分類で A 分類の上位用件から渡し始めること。用件を絞るほど成功しやすく、成功した実績が次の用件を渡す根拠になります。

02
ナレッジの準備と更新が「誰の仕事か」決まっていない

AI が答える内容の元になるのは、マニュアル・FAQ・対応ログといった社内の知識源です。この整備と更新を誰がやるかを決めないまま導入すると、日々の業務に紛れて更新が止まり、古い情報を答える AI だけが残ります。避け方は、導入の形を選ぶ段階で「知識源の整備と更新は自社で担うのか、事業者に任せるのか」を決め、自社で担うなら担当者と月あたりの時間を先に確保すること。ここが確保できない場合は、伴走型を選ぶ判断が合理的です。

03
人への道が無く、お客様が行き止まりに当たる

AI が答えられなかったとき、次にどうすればよいかが示されない──この行き止まりが、お客様の不満と「AI は使えない」という社内の空気を同時に作ります。避け方は、有人への切り替えを「AI が失敗したときの例外」ではなく「設計の一部」として最初から組み込むこと。人に残す用件リストは、まさにこの切り替え先の設計図です。切り替えた先の受け皿(誰が・いつ・何を引き継いで受けるか)まで決めておくと、AI から人への流れが自然になります。

04
「入れた」で終わり、測っていない

導入直後は関心が高いものの、数ヶ月経つと「入れたけれど、効いているのかよく分からない」状態に落ち着く──社内ツール全般で繰り返されてきた光景です。原因は、導入前に測り方を決めていなかったことにあります。避け方は、導入前に決める 3 つの③のとおり、用件別の件数と人に戻った件数を「同じ方法で・月に 1 回」数える物差しを先に固定すること。数字が残っていれば、効いていれば広げる根拠に、効いていなければ直す場所の特定に使えます。どちらに転んでも前に進めるのが、測ることの価値です。

「導入率」「導入事例」の読み方 ── 他社の数字を自社の判断材料にしない

「コールセンター AI 導入 率」「導入企業」「導入事例」──検索でよく調べられているこれらの情報について、率直な考えを書いておきます。まず導入率です。世の中には調査ごとにさまざまな数字がありますが、その多くは「どこまでを導入と呼ぶか」の定義が違います。一部の用件でチャットボットを試している状態も、全社の応対支援まで整えた状態も、同じ「導入済み」に数えられていることがあります。定義の違う数字を並べても、自社が遅れているのか進んでいるのかは分かりません。そして何より、他社の導入率がどうであれ、自社の問い合わせの内訳は変わりません。自社が AI を入れるべきかどうかは、自社の一枚表(ステップ 1)に答えがあり、世の中の割合には無い──これが私たちの考えです。

導入事例は、使い方次第でとても役に立ちます。ただし、読むべきは「どれだけ減ったか」の数字ではなく、次の 3 点です。①その会社の問い合わせの内訳は、自社と似ているか(定型の質問が多いのか、個別相談が多いのか)②AI をどの場所に入れたか(手前・電話口・後ろ)③導入後、その会社に残った運用は何か(誰がナレッジを更新し、月にどれだけ時間を使っているか)。この 3 点が自社と近い事例は、進め方の参考になります。逆に、内訳も場所も違う会社の削減の数字は、自社の見込みとしては使えません。事例を「うちでも同じくらい減るはず」の根拠にするのではなく、「うちの場合はどこに入れて、何を残すか」を考える材料にする──この読み方をおすすめします。

この記事でも、削減の割合や導入率の数字を意図的に書いていません。同じ製品でも、問い合わせの内訳と知識源の整備状況によって、任せられる件数はまったく変わるためです。自社の数字は、ステップ 4 の小さな試行で実測するのがいちばん確実です。

コルットの場合 ── 電話の手前で「渡す用件」を受ける

最後に、この記事の設計と当社の AI チャットボット「コルット」の関係を紹介します。先に守備範囲を正直に書くと、コルットは電話口で音声応対をする製品でも、オペレーターを後ろから支える製品でもありません。本記事の分類でいえば、AI が働く場所は「電話になる前の手前」で、4 分類の A(定型 × 軽い)を中心に、B・C の「案内と情報整理まで」の工程を受け持つ役割です。HP に専用タグを 1 行貼るだけで設置でき、最短 3 日で本番稼働します。回答はボタン選択式ではなく記述式(自由入力)で、お客様は用件を自分の言葉で書くだけ。知識源はマニュアル・規定・対応ログといった社内資料で、一問一答の FAQ を作り込む必要はありません。24 時間 365 日稼働するため、営業時間外に寄せられるはずだった問い合わせの受け皿にもなります。答えられない相談やクレームはオペレーターへ切り替える設計で、つまずき 03 の「人への道」を最初から備えています。さらに、どの問い合わせがコール数を増やしているかを可視化・分析する機能があり、ステップ 1 の「数える」とステップ 5 の「月次で見直す」を仕組みの側から支えます。まずは 2 ヶ月の無料モニターで、渡す用件リストの上位が手前の受け皿でどこまで解決するかを、費用をかけずに確かめられます。

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「コルット」はお手元のマニュアルや対応ログをもとに当社がナレッジを整備し、AI に渡すと決めた用件が実際の問い合わせでどこまで解決するかを実環境で確認できます。線の引き方の整理からご一緒します。

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よくある質問

問い合わせが月に数十件程度の小規模なコールセンターでも、AI 導入の意味はありますか?

件数よりも「内訳」で判断してください。数十件のうち多くが営業時間や手続き方法など答えの決まった用件なら、手前で受けるチャットボットや FAQ ページの整備で担当者の時間は目に見えて戻ります。逆に個別の相談が中心なら、AI に回答を任せる部分は小さく、まずは記録の型化や FAQ の整備のほうが先になることもあります。ステップ 1 の一枚表を 2 週間つけてみるのが、いちばん確実な判断方法です。

導入までにどれくらいの期間を見込めばよいですか?

製品の設置そのものは、手前で受けるチャットボットなら数日で完了するものもあります。時間がかかるのは設置ではなく、その前の「数える」と「線を引く」です。用件の記録に 2〜4 週間、線引きと社内合意に 1〜2 週間、小さな試行に 1〜2 ヶ月──この順番を飛ばさないことが、結果的にいちばん早く本番運用にたどり着く道です。

AI を入れると、オペレーターの仕事は無くなりますか?

振り分けの設計では、無くなるのは仕事ではなく「同じ案内の繰り返し」です。定型の用件を AI が受けることで、オペレーターは判断の要る相談やご不満の対応など、人でなければできない用件に時間を使えるようになります。導入の目的を「人を減らす」ではなく「人が受けるべき用件に人の時間を使う」に置き、線を引く作業をオペレーターと一緒に行うことが、現場の理解と定着の両方につながります。

コールセンターの AI 導入率はどれくらいですか? 自社は遅れていますか?

調査によって「導入」の定義が異なるため、一点の数字で遅れ・進みを判断することはおすすめしません。自社が AI を入れるべきかは、世の中の割合ではなく、自社の問い合わせの内訳(答えの決まった用件がどれだけあるか)で決まります。他社の事例を読むときは、問い合わせの内訳・AI を入れた場所・導入後に残った運用の 3 点が自社と似ているかで、参考にする事例を選んでください。