株式会社Livune

2026/8/3 コールセンター業務

24時間の問い合わせ対応を人を増やさずに実現する方法|夜間・休日対応の手段比較と導入手順

24時間の問い合わせ対応を人を増やさずに実現する ── 手段の比較と導入手順

「営業時間外や休日の問い合わせにも対応したい。けれど、夜間に人を置く体制を組む余裕はない」──24時間の問い合わせ対応を検討すると、多くの企業がこの壁で止まります。先に結論を書くと、24時間対応は「営業時間を延ばす(夜に人を配置する)」問題ではなく、「時間帯に左右されない解決手段を設計する」問題です。時間外に実際に来ている用件を測り、性質ごとに 3 つの層に分け、それぞれに合う受け方を用意する──この設計ができれば、人を増やさずに 24 時間の問い合わせ対応は実現できます。この記事では、時間外の実態の測り方、用件の分け方、5 つの実現手段の比較(それぞれの弱点まで)、そして人を増やさない段階導入の手順を、順番に解説します。

この記事の要点
  • 24時間の問い合わせ対応の本質は「営業時間の延長」ではなく「時間帯に左右されない解決手段の設計」── 夜間シフトは必須ではない
  • 時間外の用件は ①自己解決できる定型 ②急がない依頼 ③緊急の連絡 の 3 層に分けられ、すべてを人が受ける必要はない
  • 実現手段は 5 つ ── FAQ・サイト導線 / AI チャットボット / フォーム受付 / IVR・留守電 / 夜間アウトソース。それぞれに向く用件と弱点があり、組み合わせが前提
  • 始める順番は 実態の計測 → 定型の自己解決化 → 非同期受付の明示 → 緊急ルートの設計。時間外向けの整備は日中の問い合わせ削減にもそのまま効く
STEP 1
実態を測る
時間外に何が来ているかを記録
STEP 2
3 層に分ける
定型・急がない・緊急に仕分け
STEP 3
手段を選ぶ
層ごとに合う受け方を当てる
STEP 4
段階導入・運用
小さく始めてログで改善

「24時間の問い合わせ対応」に、人の夜間シフトは必須ではない

顧客が問い合わせたくなる瞬間は、企業の営業時間に合わせて発生してくれません。ネット通販やオンライン手続きが日常になり、調べものや申し込みは仕事が終わった後の夜や休日に行われることが珍しくなくなりました。法人相手のビジネスでも、シフト勤務の現場や営業時間の異なる取引先を考えれば、「聞きたいことができた時間」と「聞ける時間」のズレは常に生まれています。

このズレに対する従来の答えは、夜間シフトを組む・電話代行会社に委託するといった「人の配置を増やす」方法でした。もちろん有効な手段ですが、継続的な費用と採用・教育の負担が乗るため、中小規模の組織では「やりたいが割に合わない」で検討が止まりがちです。

ここで発想を切り替えます。顧客が時間外に求めているものを分解すると、その多くは「人と話すこと」ではなく「答えを得ること」「用件を受け付けてもらうこと」です。だとすれば、24時間対応とは「電話が 24 時間つながる」ことではなく、「顧客が動く時間帯に、解決手段が用意されている」状態のことだと定義し直せます。答えを返すのは人でなくてもよく、受け付けたことを伝えるのは仕組みで足ります。この定義に立つと、24時間対応は人員の問題から設計の問題に変わります。

なお、問い合わせ対応の負荷を下げる打ち手の全体像(可視化 → 自己解決 → 有人対応の最適化)は「コールセンターの問い合わせを削減する方法【完全ガイド】」で体系的に整理しています。本記事はその中で触りだけ紹介した「時間外対応」を、手段の選び方と導入手順まで掘り下げるものです。

まず「時間外に何が来ているか」を測る

留守番電話・フォーム受信時刻・サイトアクセスの時間帯から、営業時間外の問い合わせの実態を計測するイメージ

打ち手の前に、実態です。24時間対応の設計は「自社の時間外に、どんな用件が、どのくらい来ているか」で決まります。感覚で「夜も問い合わせが多いはず」と進めると過剰な投資になり、逆に「うちは夜は来ないから」と決めつけると取りこぼしに気づけません。幸い、計測は特別なツールなしで始められます。見る場所は次の 4 つです。

  • 留守番電話・時間外着信の記録 ── 2〜4 週間、時間外に鳴った電話の件数と用件(録音・メモ)を残します。曜日と時間帯も併せて記録します。
  • メール・問い合わせフォームの受信時刻 ── 受信一覧を時刻で並べ直すだけで、営業時間外に送られた割合と用件の傾向が見えます。
  • Web サイトのアクセス時間帯 ── アクセス解析で、FAQ ページや問い合わせページが夜間・休日にどれだけ見られているかを確認します。
  • 翌朝・休日明けの入電の中身 ── 朝一番や月曜に集中する電話の中に「昨夜から待っていた」用件が混ざっていないかを聞き取ります。時間外需要は翌営業日の入電に姿を変えて現れます。

1 つ注意したいのは、「時間外に電話が鳴らない」は「時間外の需要がない」を意味しないことです。営業時間を知っている顧客は、つながらないと分かっている時間にはそもそも電話をかけません。需要は着信件数ではなく、フォームの受信時刻や夜間のサイトアクセス、翌朝の入電の中身に現れます。だからこそ ①だけでなく ②〜④ を併せて見る必要があります。

時間帯・曜日の偏りの取り方や、用件を分類して件数の多い順に並べる手順は「入電数を分析して削減につなげる5ステップ」で詳しく解説しています。既に入電分析を回している場合は、その集計に「時間外」の軸を 1 本足すだけで足ります。

逆に、測った結果「時間外の用件がほとんどない」と分かることもあります。その場合は無理に 24 時間対応を組む必要はありません。計測は「やる」の根拠にも「やらない」の根拠にもなる──ここが感覚で決めることとの一番の違いです。

時間外の用件は 3 つに分けられる ── すべてを人が受ける必要はない

営業時間外の用件を、自己解決できる定型・急がない依頼・緊急の連絡の 3 層に仕分けるイメージ

実態が見えたら、集まった用件を性質で仕分けます。時間外に来る用件は、業種を問わずほぼ次の 3 層に収まります。層ごとに「顧客が求めている速さ」が違うので、適した受け方も変わります。

代表的な用件顧客が求めるもの適した受け方
① 自己解決できる定型営業時間・料金・手続き方法・注文や申込の状況確認その場で答えを知りたいFAQ・サイト導線・AI チャットボットなどの自己解決手段
② 急がない依頼・相談資料請求・日程変更・書類の再発行・見積依頼受け付けられた確認と、いつ返事が来るかの目安フォーム・メールでの非同期受付+返信目安の明示
③ 緊急の連絡設備の故障・水漏れ・システム障害・事故すぐ人につながること人への直通ルート(当直・夜間委託・転送)

ポイントは 2 つあります。1 つ目は、件数の大半は ① と ② が占めることです。日中の電話の内容が定型的な質問・確認に大きく偏っているという構造は「電話問い合わせを減らす方法7選」で書いたとおりですが、この偏りは時間外でも変わりません。つまり時間外の用件の多くは、人がその場にいなくても仕組みで解決・受付できる性質のものです。

2 つ目は、③ の緊急層があるかどうかは業種で決まることです。不動産管理・設備保守・インフラ系のように「夜中の故障連絡」があり得る業種では、③ のための人への直通ルートが必要です。一方、EC・スクール・士業・一般的な BtoB サービスのように緊急層がほぼ存在しない業種なら、① と ② を仕組みで受けるだけで、人の夜間配置ゼロのまま 24 時間対応が成立します。「うちに ③ はあるか」を最初に判定しておくと、必要な投資の大きさがこの時点でほぼ決まります。

24時間の問い合わせ対応を実現する 5 つの手段 ── 向く用件と弱点

FAQ・AIチャットボット・フォーム受付・IVR・夜間委託という 5 つの手段を用件に合わせて組み合わせるイメージ

層の整理ができたら、手段を当てはめます。24時間対応の実現手段は大きく 5 つです。先に言っておくと、どれか 1 つで全部の層をカバーできる手段はありません。それぞれの「向く用件」と「弱点」をセットで押さえ、組み合わせて使うのが前提です。

01
FAQ・サイト導線の整備 ── すべての土台

時間外の自己解決(層①)の土台です。よくある質問を顧客の言葉で整備し、料金・手続き・営業時間などの情報へトップページから最短で辿れるようにします。費用がほぼかからず、整備した内容は後述のチャットボットの知識源にもなります。弱点は、顧客が探し当てられなければ機能しないことと、「私の注文はどうなっているか」のような個別の状況には答えられないことです。

02
AI チャットボット ── 層①の主力。夜間も同じ品質で答える

サイト上のチャットで、顧客が自由に書いた質問を理解してその場で回答します。人と違って時間帯による品質差がなく、夜間・休日も日中と同じ一次対応ができます。社内のマニュアルや対応ログを知識源にする方式なら、一問一答の FAQ を大量に作り込まなくても立ち上げられます。弱点は、答えられない質問が必ず残ること(だからこそ、答えられないときにフォームや翌営業日の連絡へつなぐ「逃げ道」の設計が必須です)と、知識源を更新し続ける運用が要ることです。

03
フォーム・メールでの非同期受付 ── 層②の主役

急がない依頼(層②)は、その場で解決するより「確かに受け付けた」ことと「いつ返るか」を伝える方が価値があります。肝は返信目安の明記です。「翌営業日中に返信します」と書いてあるだけで、顧客は安心して電話以外を選べます。自動返信メールで受付確認を返す設定も忘れずに。弱点は、その場では解決しないことと、緊急の用件に使われると事故になることです(緊急連絡先や案内をフォーム周辺に併記して防ぎます)。

04
IVR(自動音声)・留守番電話+折り返し ── 電話チャネルの時間外受け皿

電話をかけてきた顧客を取りこぼさないための受け皿です。時間外アナウンスで FAQ やフォームへ案内し、伝言を残してもらって翌営業日に折り返します。「緊急の方は 1 を押してください」のような分岐を設ければ、層③の振り分け口としても機能します。弱点は、音声だけでは自己解決がほぼできないことと、折り返しがそのまま翌営業日の業務負荷になることです。

05
夜間アウトソーシング・当直 ── 層③に人の判断を残す唯一の手段

夜間の電話対応を外部の代行会社に委託する、または自社で当直・オンコール体制を組む方法です。人の判断がその場で必要な用件(緊急対応・クレームの一次受け)を夜間もカバーできる唯一の手段で、緊急層が厚い業種では欠かせません。弱点は、継続的な費用がかかることと、自社の業務知識を外部の対応者に引き継ぐ品質管理(結局マニュアル整備が必要になります)です。だからこそ「全部を委託する」のではなく、①②を仕組みに逃がして委託範囲を緊急層だけに絞ると、費用対効果が大きく変わります。

手段その場で解決向く用件層主な弱点始めやすさ
FAQ・サイト導線できる(定型のみ)探されないと機能しない・個別状況に答えられない◎ 費用ほぼゼロ
AI チャットボットできる①(+②への誘導)答えられない質問が残る・知識の更新運用が要る○ サービス利用で短期導入可
フォーム・メール受付できない(受付のみ)緊急に不向き・返信目安がないと不安を生む◎ 既存フォームの改善から
IVR・留守電+折り返しほぼできない②(+③の振り分け)音声では自己解決できない・折り返し負荷○ 電話設備の設定変更
夜間委託・当直できる(人が対応)継続費用・引き継ぎ品質の管理△ 契約・体制構築が必要

組み合わせの定石はこうなります。層① に FAQ+AI チャットボット、層② にフォーム+返信目安の明示、層③ に IVR の振り分け+直通ルート(必要な業種のみ)。緊急層のない業種なら、①と②の整備だけで「顧客から見て 24 時間対応が成立している」状態を、人を増やさずに作れます。

人を増やさずに始める ── 段階導入の 4 ステップ

計測から自己解決の整備・受け皿の明示・緊急ルートの設計へと段階的に導入を進めるイメージ

手段が見えても、一気に全部を入れる必要はありません。今の体制のまま、効果の大きい順に足していく 4 ステップを紹介します。

ステップ 1: 時間外の実態を測り、3 層に振り分ける

前半で述べた 4 つの計測(留守電・フォーム受信時刻・アクセス時間帯・翌朝の入電)を 2〜4 週間回し、集まった用件を 3 層の表に振り分けます。件数が少なくても構いません。ここで見たいのは量より「うちの時間外には、どの層が、どんな用件で来るのか」という質です。とくに層③(緊急)の有無は、この後の投資判断を大きく左右するので最初に確定させます。

ステップ 2: 「自己解決できる定型」から仕組みに移す

件数がもっとも厚い層①から着手します。時間外に多かった質問の上位を、顧客の言葉で FAQ に整備し、該当ページへの導線を直します。そのうえで、サイト上で自由な質問にその場で答えられる AI チャットボットを置くと、FAQ を探させる手間ごと解消できます。整備した FAQ や既存のマニュアル・対応ログは、そのままチャットボットの知識源として活きるので、ステップの前半と後半は二度手間になりません。

ステップ 3: 「急がない依頼」の受け皿と返信目安を明示する

層②の受け皿を明文化します。問い合わせフォームに返信目安(「翌営業日中に返信します」)を明記し、受付確認の自動返信を設定し、時間外の電話アナウンスと留守番電話でもフォームの存在を案内します。「時間外でも用件は出せる。いつ返るかも分かる」という状態を作ることが、このステップのゴールです。

ステップ 4: 緊急ルートを決め、月次で見直す

層③がある業種は、「何を緊急と定義するか」「誰にどうつながるか(転送先・当直・委託)」を決め、IVR やアナウンスの分岐に実装します。最後に運用です。時間外に来た質問のログ(チャットボットの会話・留守電・フォーム)を月に一度見返し、答えられなかった質問を FAQ・ナレッジに反映します。作った日がスタートで、ログで育てていく──この習慣が 24 時間対応の品質を決めます。

なお、AI チャットボットと人の役割分担──どこまでを AI に任せ、どこから人に切り替えるか、その分岐をどう設計するか──は、それ自体が独立した設計テーマです。本記事では「答えられない質問の逃げ道を必ず用意する」という原則までにとどめ、切り分けの具体的な設計は別記事で詳しく扱う予定です。

時間外対応のために整備した FAQ・チャットボット・フォームの返信目安は、営業時間中もそのまま動き続けます。つまり夜間・休日向けの整備は、日中の電話を減らす投資と完全に重なります。「24時間対応のため」と「入電削減のため」を別々のプロジェクトにする必要はありません。

夜間・休日の一次対応を AI チャットボットに任せるなら

層①の主力になる AI チャットボットについて、当社の「コルット」を例に紹介します。コルットは HP に設置する顧客対応 AI チャットボットで、24 時間 365 日稼働し、夜間・早朝・連休も自動応答します。時間外に来た質問がその場で解決されるため、翌朝に問い合わせの積み残しを持ち越さない運用を目指せます。ボタン選択式ではなく記述式(自由入力)なので、顧客は用件を自分の言葉で書くだけです。知識源はマニュアル・規定・対応ログなどの社内ナレッジで、一問一答 FAQ の作り込みは不要。答えられない質問や複雑な相談は有人対応へ切り替える設計です。設置は HP に専用タグを 1 行貼るだけ、最短 3 日で本番稼働します。

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夜間・休日の問い合わせに、今の体制のまま答える

「コルット」は 24 時間 365 日稼働する AI チャットボット。お手元のマニュアルや対応ログをもとに当社がナレッジを整備し、自社の時間外の問い合わせにどこまで答えられるかを実環境で確認できます。夜間対応の検討段階でも、まず動くもので判断できます。

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よくある質問

時間外の問い合わせが少ない場合でも、24時間対応は必要ですか?

まず計測してから判断することをおすすめします。時間外の着信が少なくても、フォームの受信時刻や夜間のサイトアクセス、翌朝に集中する入電の中身を見ると、表に出ていない時間外の需要が確認できることがあります。計測の結果それでも少なければ、無理に整備する必要はありません。その場合も、FAQ の整備やフォームの返信目安の明示は日中の対応品質に効くので、着手して損のない範囲から始めるのが現実的です。

24時間対応にするなら、電話も 24 時間つながるようにすべきですか?

必須ではありません。時間外の用件の多くは「答えを知りたい」「用件を受け付けてほしい」であり、FAQ・チャットボットでの自己解決とフォームでの受付+返信目安の明示で満たせます。電話を 24 時間人が受ける体制が必要なのは、設備故障や障害対応のような「すぐ人の判断が必要な緊急連絡」がある業種です。その場合も、緊急以外を仕組みに逃がして人が受ける範囲を緊急層だけに絞ると、体制の負担を大きく抑えられます。

AI チャットボットが夜間に答えられない質問を受けたら、どうなりますか?

「答えられないときの動き」を導入時に設計しておきます。基本は、無理に答えさせず、問い合わせフォームへの案内や翌営業日の連絡につなぐ流れを用意することです。営業時間内であれば有人対応へ切り替える設計も一般的です。答えられなかった質問はログに残るので、月次でナレッジに反映すれば、答えられる範囲は運用の中で広がっていきます。

小規模な会社でも、人を増やさずに実現できますか?

できます。むしろ夜間シフトやアウトソースの固定費を吸収しにくい小規模な組織ほど、仕組み中心の設計が向いています。緊急層のない業種なら、FAQ の整備・AI チャットボット・フォームの返信目安の明示という 3 点だけで、顧客から見て「いつ問い合わせても解決するか受け付けてもらえる」状態を作れます。一度に全部ではなく、本文の 4 ステップの順に小さく始めるのがおすすめです。